宅建の免許申請の不正で不動産会社社長と行政書士が逮捕。

許認可申請で行政書士が悪事に加担・・・

 

宅建業の免許申請において、営業所(ごと)に配置するべき「専任の宅地建物取引士」を実際に配置せず不正に免許を取得したとして、埼玉の中国籍の不動産会社社長が宅建業法違反の容疑で逮捕され、この事情を知りながら申請を行った東京の行政書士も同法違反のほう助で逮捕というニュースをネットで見かけました。

 

宅建業に関する規定が定められている宅地建物取引業法の第31条の3に以下のような定めがあります(e‐Gov法令検索より。太字や下線は当事務所注)。

 

(宅地建物取引士の設置)
第三十一条の三 宅地建物取引業者は、その事務所その他国土交通省令で定める場所(以下この条及び第五十条第一項において「事務所等」という。)ごとに、事務所等の規模、業務内容等を考慮して国土交通省令で定める数の成年者である専任の宅地建物取引士を置かなければならない。
2 前項の場合において、宅地建物取引業者(法人である場合においては、その役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。))が宅地建物取引士であるときは、その者が自ら主として業務に従事する事務所等については、その者は、その事務所等に置かれる成年者である専任の宅地建物取引士とみなす。
3 宅地建物取引業者は、第一項の規定に抵触する事務所等を開設してはならず、既存の事務所等が同項の規定に抵触するに至つたときは、二週間以内に、同項の規定に適合させるため必要な措置を執らなければならない。

 

この「事務所等」や「定める数」の定義については施行令や施行規則で定めているのですが、大まかにいうと「事務所」にあたるところには従業員の5分の1以上、「事務所以外の場所」には従業員の数に関係なく1名以上の専任の宅地建物取引士を配置しないといけません。また「専任の」とは、その事務所に常時勤務する(他の事務所と兼任やパートタイムなどではない)ということです。

 

記事によると、逮捕容疑は3年前の11月~12月に80代女性を専任の取引士とする虚偽の内容の申請を東京都に提出したということのようです。私の住む糸島のようなのどかな地方ならまだしも、都内で開業したての宅建業の営業所に80代の取引士が「専任」というところにまず引っかかります・・・私の憶測ですが、、この取引士の方に相続が発生して、相続の手続きの中で発覚した、というような感じでしょうか。知り合いでたまたま宅建士の資格を持って登録していた方を「名義貸し」のような形で申請書に載せたのかもしれません。(免許申請に専任の取引士の宅建士証の写しを添付するので、申請の時点でその宅建士が既に亡くなっている若しくは実在しないという場合は書類の審査の中ですぐにわかるはず)

 

不正の手段により宅建業の免許を受けた場合、同法79条第1号の規定により3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はこれらが併科されます。つい先日私が取り扱った宅建業の免許申請のケースでも、お客様が専任の取引士探しにとても苦労されていましたし、同じようなことは建設業許可における「常勤役員等(旧経営業務の管理責任者)」や「専任技術者」の選任においても言えるでしょう。

 

いずれにしても、当事務所はこれらのような不正を目的とした許認可申請手続きは一切行いません。現在建設業許可の新規申請に係る相談で「常勤役員等(旧経営業務の管理責任者)」や「専任技術者」の選任で難航しているお客様が3社あるのですが、不正を行うことなく、「これなら経営経験・実務経験として認められる余地はあるだろう」という点については行政書士力を駆使して全力で担当窓口に掛け合う、というスタンスで、皆さまが許可を取得できるようサポートを続けていこう、、、と思うニュースでした。

 

ヤフーニュース 時事通信社 1/25(木) 13:00配信 宅建士置かず免許不正取得容疑 中国人社長と行政書士逮捕 警視庁 → https://news.yahoo.co.jp/articles/afa64bdb89105842727c1daa7dca86f6df3fc47d

 

 

 

 

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