行政書士資格を持たない業者が、行政書士にしかできない業務を有償で行うことは行政書士法違反です。【行政書士法第１９条 業務の制限】
今日のブログのタイトルは行政書士法第１９条に書いてあることを単にわかりやすく言い換えているだけですが、最近この条文に違反してんじゃん・・・と思った出来事があったのと、先日の改正行政書士法の成立でこの１９条の条文がより行政書士ではない業者の排除に向けた内容に変わっているので、そのあたりを少し書いてみようと思います。
まずは、現行の行政書士法（以下単に「法」といいます）第１９条の条文は以下の通り（ｅ－Ｇｏｖ法令検索より抜粋 太字や下線等は当事務所注）。
（業務の制限）
第十九条 行政書士又は行政書士法人でない者は、業として第一条の二に規定する業務を行うことができない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は、この限りでない。
２ 総務大臣は、前項に規定する総務省令を定めるときは、あらかじめ、当該手続に係る法令を所管する国務大臣の意見を聴くものとする。
↑の下線部を言い換えると、「行政書士の資格を持っていない者は、事業として（営利目的で・反復継続的に）、行政書士業務（法第１条の２に掲げる）を行うことができない」ということになります。まあ、当たり前のことを当たり前に書いているだけなのですが、
この法第１条の２に「報酬を得て」と規定されていることによって、例えば行政書士ではない業者が行政書士業務を行っても、色んな名目で別の形で報酬を受け取る（行政書士業務としての対価ではなく、「コンサル料」だったり、月々の顧問料に上乗せされていたり・・・）ことによりこの規制を回避できてしまっている、というのが現状です。
ここで最初に書いた「最近の出来事」ですが、ある建設業（許可）業者の決算変更届の作成提出の依頼を受けたところ、これまでは税務申告をお願いしている中小企業の税務申告をサポートする団体（の担当者）に工事経歴書や提出用の財務諸表を作成してもらっていた、ということを聞きました。決算変更届（付属書類）の作成に関して完全に無償であれば法１９条の違反にはならなかったのでしょうが、聞くとどうやら追加の費用は発生していたようです。あと、工事経歴書の作り方が間違っていました。。。
また、この出来事に遭遇して「そういえば」とコロナ禍で事業者向け給付金の申請サポートを行った個人事業主の建設業（許可）業者の方が「許可の更新申請は自分が入っている組合に５，０００円払ってやってもらった」と言っていたことも思い出しました。
現行の規定では、行政書士資格を持っていない業者が行政書士業務を行っても、「行政書士業務の対価」ではなく「別の名目（コンサル料や顧問料上乗せなど様々）」で報酬を受け取ることによって違反逃れができてしまうということについて、なかなか厳しく取り締まることができていないようですが、来年１月１日施行の改正法では、この第１９条が下記のように改正される予定です。
総務省ホームページ 通知・通達 令和7年6月13日付け総行行第281号「行政書士法の一部を改正する法律の公布について（通知）【PDF:109KB】」より抜粋 太字や下線は当事務所注
（業務の制限）
第十九条 行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第一条の三に規定する業務を行うことができない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は、この限りでない。
２ 〔略〕
改正法の第１９条第１項では下線部の赤字の部分が新たに加えられることにより、これまで以上に行政書士ではない業者が（有償で）行政書士業務を行うことへの取り締まりが強化されていくのではないでしょうか。胡散臭い補助金コンサルみたいな業者が排除されていくのはもちろん良いことですが、
例えば行政書士登録をしていない税理士さんとか公認会計士さん、中小企業診断士さんとかが補助金申請の申請書類（フォーム）作成・申請代行までやってるようなケースってどうなるんだろうなあ・・・とちょっと気になります。。。
総務省ホームページ 通知・通達 → https://www.soumu.go.jp/menu_hourei/tsutatsu/t_tsutatsu.html
同ホームページ 行政書士制度 → https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/gyouseishoshi/index.html
