「真実が靴を履いている間、嘘は地球の裏側まで旅することができる。」【私の読書記録Vol.19】 プロパガンダにあやつられないように。
今日のブログのタイトルの言葉は、「トム・ソーヤの冒険」で有名なアメリカの作家マーク・トウェイン(1835-1910)が残したものです。彼が生きたのは19世紀~20世紀初頭ですが、ネット社会の21世紀の今、真実が靴を履いている間に嘘は地球を半周どころか何周も何周も駆け巡ることになるでしょう。
今回ご紹介するのは誠信書房の「プロパガンダ 広告・政治宣伝のからくりを見抜く」という本です(上記のマーク・トウェインの言葉はこの本の中でも触れています)。アメリカの社会心理学者エリオット・アロンソンらが約30年前に書いたもので、日常生活に潜むプロパガンダや第二次世界大戦においてナチスドイツが使ったプロパガンダなど様々な例を取り上げて説明しています。
先日のブログで取り上げた漫画「ナニワ金融道」同様、30年以上前に書かれた本なので、事例は当時又はそれ以前の古いものばかりですが、プロパガンダにまみれた情報の洪水の今の世の中で、情報を送り手側が巧みに使う心理効果による“説得”から自分を守るためのコツをつかみ、プロパガンダに操られずに生きていくためのヒントが盛りだくさんです。情報の受け手側となる多くの人には盾となってくれて、送り手側には強力な矛となってくれるはず。翻訳された本と構えず、じっくりと読んで血肉してもらいたい本です。
“プロパガンダ”と聞くと真っ先に「ナチスドイツ」や「ゲッペルス」というイメージが浮かんできそうですが、“大きな力を持った送り手(政府やその他国の機関はもちろん、大企業、マスコミなど)から日々膨大な量の情報を垂れ流されひたすら受動的に受け取るしかできない受け手(「茶の間」の一般人)”という状況下にもある現代社会においては、ナチスドイツのそれよりももっと巧妙に複雑化されたプロパガンダが日常生活の中に潜んでいるはずです。大衆操作のそのウラに何があるのか、立ち止まって考えてみるきっかけにこの本がなればいいなと思います。
プロパガンダ 広告・政治宣伝のからくりを見抜く アンソニー プラトカニス (著), エリオット アロンソン (著), 社会行動研究会 (翻訳) → Amazon商品ページ