雨の秋月、筑前の小京都にてはじめての和紙漉き体験!
昨日は小雨が降り続く中、思い立って朝倉市の秋月を訪れました。桜が散ってしまった後ではありましたが、「筑前の小京都」とも呼ばれる秋月の古い町並みは小雨もまた風情となり、県の指定有形文化財となっている長屋門の前に立つと、雨に濡れた木々たちの匂いとそこかしこに聞こえてくる雨蛙の声に包まれて江戸時代辺りにタイムスリップしてしまったかのような感覚になりました。
長屋門、黒門を通って垂裕神社にて参拝し、雨で冷えてしまった身体を温めようと、杉の馬場沿いに並ぶ茶屋に入りお昼に秋月そばと葛もちをいただきました。秋月の名産の一つである葛を味わった後は、明治9年の創業から現在秋月にただ一軒残った手漉きの和紙工房「筑前秋月和紙処」に向かいました。
前日に急きょ思い立ち、ネット検索で「和紙の手漉き体験」ができるということを知り、事前予約が必要だったもののなんとかならないかなと当日電話を入れてみるとお昼過ぎ2組目で予約を入れることができました。筑前秋月和紙処の四代目手漉き和紙職人井上さんから秋月の歴史や和紙の歴史を丁寧にひも解いていただき、いよいよ楽しみにしていた和紙の手漉きに挑戦しました。
ドキュメンタリーのTV番組でなんとなく見たことがあった和紙の手漉きを、井上さんから手ほどきを受けつつ挑戦しました。今回の体験ではハガキサイズの和紙を10枚作成しました。井上さんのお手本の仕上がりと比べると、私が作ったものはまるで豆腐のような分厚さになってしまいました。シンプルな作業の中に匠の技の奥深さがあるものなんだと実感しました。
手漉きが終わった状態の和紙は、水分を落としたあと乾燥台(沸騰したお湯の上に乗せた鉄板)に乗せられ、乾燥させて完成とのことで、2週間くらいで出来上がって郵送してもらえるそうです。とんでもない分厚さとなった私の作品はどんな仕上がりとなるのか、届くのがとても楽しみです(^^)
はじめてニッポンの古き良きものづくりを守り続ける職人さんの工房にお邪魔して、本当に貴重な経験となりました。江戸時代は武士のちょんまげの元結としても使われており、現代もふすまや障子などの日本家屋の建具、書道半紙や便せんなどの文房具や紙幣など様々な用途で使われている和紙ですが、井上さんはペーパーレス化や電子マネー化が進む現代に「これから先どうなっていくのだろう」という危惧をされていました。井上さんは、私が和の職人さんに抱いていた「寡黙で厳めしい」「気難しい」といったイメージからは程遠く、とても気さくで朗らかな、お話の上手な方でした。井上さんの工房はどうかこれからも永く続いていって欲しいなと思いました。
和の心に触れる良い機会となった土曜日でした。