100年前の日本を襲った未曾有のパンデミック【私の読書記録Vol.3】

スペイン・インフルエンザに学ぶ今後。

 

今回は、歴史人口学者の速水融氏が書いた「日本を襲ったスペイン・インフルエンザ 人類とウイルスの第一次世界戦争(藤原書店)」という本をご紹介します。

 

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、最近はウイルスや感染症に関する本を読むことも多く、この本はAmazonの「あなたへのおすすめ」に出てきて以来ずっと読みたかったのですが、中古だとものすごい値段がついていたので、先日新品が入荷した途端に早速注文し、ようやく読むことができました。

 

この本では、今から100年前に世界中を襲った「スペイン・インフルエンザ」について、日本国内での流行の状況を中心に、当時の「日本帝国人口動態統計」、「日本帝国死因統計」、日本内地の各道府県の新聞記事、日記や医者の記録、内務省衛生局編の「流行性感冒」などの資料を元に、歴史人口学の視点から、スペイン・インフルエンザが1918年から1920年の間にどこでどのようにして発生し、どのようにして世界中に広がり、日本国内に襲来し、感染が拡大したのか、そのとき国や地方自治体、医療機関などはどういった対策を取ったのか、民間ではどうだったかなどを、豊富なグラフや、表、当時の地方の新聞記事などを載せて大変詳細に書いています。

 

 

二つの大きな大戦の狭間に世界中を襲ったスペイン・インフルエンザは、当時の資料によると、日本国内(内地)での感染者(1918~1920)が約2,400万人、死亡者が推計で約45万人だったそうです。当時の日本(内地)の人口が約5,500万人だったことを考えると、とてつもない数字です。福井県の山間の僻地の村では、人口1,000人のうち970人が感染し、70人が死亡するということもあったようです。このような事態に、国や各地方自治体などは、予防ワクチンの接種を勧めたり、マスクの着用や手洗い・うがいの励行などを促し、感染者が発生した学校を休校させるなどの対策を取っていたようです。

現在自分の目の前で起こっているようなことが、100年前の日本でも起こっていたのかと、大変な驚きとともに、当時の医療技術や、国民の公衆衛生についての意識、ニュースを手元で知ることができるのは新聞くらい、といった状況の中で、日本人はその現状にどう立ち向かっていたのか、深い興味を持ちました。

 

↑内務省が当時作成したポスター。

 

スペイン・インフルエンザから100年が経ち、今新型コロナウイルス感染症に対峙している私たちは、先の見えないこれからをどうやって進んで行けばいいのか。

 

医療の進歩を信じ、ただただ前を向いて進んで行くしかないのでしょうが、この本を読み、過去を知ることで、今後の行動の指針の一つとしての学びになるのではないでしょうか。まさに今、読むべき本でした。

 

もし、興味がわいた、という方は、この機会にぜひどうぞ。

 

→ 「日本を襲ったスペイン・インフルエンザ 人類とウイルスの第一次世界戦争」

 

 

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