株式会社の役員の任期について。

 

昨年末(令和元年)の話ですが、とある株式会社の社長から、事業目的の変更と、役員の変更及び役員の変更に伴う設置機関の変更についての必要な書類の作成の依頼をいただいたのですが、最新の状態の登記事項証明書(登記簿謄本)を確認すると、取締役の任期(定款で10年に伸長されていました。)が一昨年(平成30年)で満了しているにもかかわらず、任期満了に伴う役員改選の登記がなされていないことがわかりました。

 

本来は一昨年(平成30年)の事業年度終了後の定時株主総会においての役員改選の決議と、株主総会の日から2週間以内の役員変更登記手続きが必要だったのですが、何もしないままほぼ1年が経過してしまっているという状況でした。

 

株式会社は、登記されている事項に変更が生じた場合、2週間以内に登記の手続きが必要になります(会社法第915条第1項)。これを怠ってしまうと、会社法第976条第1号の規定により、なんと100万円以下の過料の対象となってしまいます。

 

この過料については、「どのくらいの期間怠ったら、いくら」という基準が明確にされているわけではありません。いつも登記をお願いしている司法書士に聞いてみたところ、「1年程度(程度・・・)であれば、過料はギリギリ払わなくてもいいか、払うことになったとしても数万円じゃない?」ということでした。いずれにしても、2週間以内の登記手続きは、忘れずに行う必要があるということです。

 

現行の会社法は、平成18年に施行されました。会社法上では、取締役の任期は原則2年(会社法第332条)、監査役の任期は原則4年(会社法第336条)と定められていますが、委員会設置会社を除いた非公開会社は、定款に定めることにより取締役及び監査役の任期を最大10年まで伸長させることができます。この規定により、平成18年以降に設立された株式会社は、きっとそのほとんどで役員の任期が定款で10年と定められていることでしょう(法定の任期のままだと、取締役は2年ごと、監査役は4年ごとに改選(+登記)が必要となり、手続きが煩雑で、登記の費用も多くかかる)。

 

設立の際に行政書士や司法書士が携わった場合、その先生方の事務所で顧客のデータがきちんと管理されていれば、通常は10年後役員の任期満了の前のタイミングで「役員の改選が必要ですよ」とお知らせをするはず(義務ではない)ですが、顧問契約であったり設立以降も継続的な関係がある、というような場合でない限り、設立したらそれっきりで、会社の方でも「10年後の改選」を認識できているわけでもなく、そのまま10年以上経過してしまい、「登記のし忘れ」で過料の対象となってしまい、裁判所からハガキが届く、といった事例が平成28年以降けっこう起こっているようです。

 

登記の申請は法務局に行いますが、法務局が「あなたの会社の役員の任期、そろそろ満了ですよ」といったようなお知らせをしてくれるわけではありません。「もしかしたら・・・」と思った株式会社の役員の皆様、会社の定款の役員の任期の条項と、最新の登記簿謄本を確認されてみてください。

 

当事務所では、提携の司法書士とタッグで、役員の改選手続きに必要な書類の作成及びその後の法務局への速やかな登記申請手続を承っております。もちろん、ご相談のみでも構いません。

 

お電話(直通090-8916-4439)又はお問い合わせメールフォームにてご相談を承っておりますので、どうぞお気兼ねなくお問い合わせください!

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